鳳凰に松竹梅と菊の花の五つ紋付黒引き振袖【fuh88】

まだサイトに掲載していないのに、もうご予約が入ってしまうほどインパクトの強い黒振袖です。これだけの派手さを持った黒振袖は、なかなかお目にかかれないですよ。
作られたのは、大正の終わりから昭和の初めころだと思います。原色が生きていますね。もとの正絹が上質なので、この色合いが出るのですよね。刺繍糸も光沢のある良い絹糸が使ってあります。正面の鳳凰の華やかなこと。手描きされた絵も赤・ピンク・橙・緑・黄色と自然素材の和の色で美しく、その上の手刺繍も赤・黄色・ピンクなど鮮やかです。金駒刺繍も太くて存在感がありますね。びっしりと細かく手刺繍がほどこされています。圧巻の手作業ですよ。半身を覆うかのように大きな雪輪が幾重にも描かれ、雪輪の中や周りには松竹梅や梅の花が描かれています。後ろ姿や袖の梅は、ぼかし染めですね。なんとも可愛らしい色合いです。松の緑の濃さも、菊の花の華やかさも良いですね。
この派手な黒振袖に、どの帯を合わせようかと悩みましたが、ちゃんとありましたよ。このきものを待っていたかのような、主張の強い龍村の帯です。一生に一度は締めたい、龍村の丸帯です。金と銀の入子菱と、雲と見間違うほど大きな花です。花をこの角度から、こんなにデフォルメして表現するかしら、と思うほどの大胆さでデザインしてあります。でもきちんと納まっているのですよね。さすがは龍村です。しっかりと主張する黒振袖に、かっきりと主張する龍村の帯の組み合わせです。お互いの主張を活かしあって、すばらしい組み合わせになりました。
小物のコーディネートは花嫁衣装です。大きな粒の絞りの帯揚げに、ぽってりとした丸ぐけ帯締め、抱え帯の色加減もアンティークらしい風合いですね。今作ったケバケバしく派手なきものとは、ひと味もふた味も違う、アンティークだからこそ出せる、しっとりとした色合いの派手さです。花嫁衣装におすすめですよ。