長い羽根の鳳凰と桐、青海波の黒振袖【fuk10】

青海波の水色、青緑、鳳凰の青、牡丹の青、随所に用いられた青系統のお色が冴えわたる作品です。錦紗縮緬とよばれる細い正絹の糸で織られたちりめん地に、総手描きの作品です。この図柄の大胆さは、襖絵を描く絵師が手掛けたものだと思われます。

この黒振袖は、京都のお蔵から出てきました。江戸時代から、京都は流行の発信地であり、きもののデザインや小物、袋物、帯の結び方、髪の結い方、何もかもが最先端の町でした。青を多用したのも、鳳凰の黄色や青の色合いも、このデザインが挑戦であったことがうかがえる作品です。帯を結ぶと隠れてしまう鳳凰の顔も、狙いだったのかも知れません。その大胆さと繊細さに感服させられます。ここまでスケールの大きなきものには、なかなかお目にかかれませんよ。

紋は「丸に橘」の五つ紋、第一礼装となります。

どんな帯を合わせようかと、ずいぶん迷いましたが、ベージュ地に菊や唐草が大きく織り出された丸帯を選びました。大きく結んで迫力を出す方が、きものとのバランスが取れますね。

花嫁の御引き摺りとしてお召しいただいても綺麗ですし、成人式でも、もちろんリクエストの多い振袖です。