七五三の衣装にアンティーク着物を選ぶ|レンタル活用法と当日への準備
はじめに
七五三は、日本の伝統的な成長を祝う節目として、多くの家庭で大切にされています。この特別な日に、お子さまが身に纏う着物は、ただの衣服ではなく、家族の願いと伝統が込められた象徴的な存在です。特に、アンティーク着物を選ぶことで、その価値はさらに高まります。東京と山梨で1985年から続くゆめやでは、純粋な絹100%の正絹アンティーク着物を、約500点取り揃えています。これらの着物は、世代を超えて受け継がれた、温もりと美しさを兼ね備えています。
アンティーク着物を七五三で選ぶことは、単に美しいだけでなく、お子さまに先人の歴史や物語を身に纏わせることを意味します。しかし、アンティーク着物の選び方やレンタルのプロセスは、初めての方にとっては分かりにくいものです。
この記事では、3歳、5歳、7歳のお子さまを持つ親御さんが、アンティーク着物レンタルをスムーズに進めるためのポイントをご紹介します。サイズ選びから、色やデザイン、さらには当日の着付けに至るまで、七五三を迎える皆様が知っておくべき情報を網羅して解説していきます。この記事を通じて、アンティーク着物のレンタルが、より身近で楽しいものになることを願っています。
サイズ選びの重要性:お子さま用アンティーク着物の適切なフィット感
七五三でアンティーク着物を選ぶ際、その美しさと共に、お子さまが一日中快適に過ごせるよう、正確なサイズ選びが非常に重要になります。
3歳・7歳の女の子のためのサイズガイド
お子さまの成長は早く、特に3歳から7歳にかけて、身体のサイズが大きく変わります。この時期に着用するアンティーク着物は、彼らの身長、体重、そして体型に合わせて選ばれる必要があります。そもそも七五三とは、3歳の「髪置きの儀」、5歳の「袴着の儀」、7歳の「帯解の儀」の3回の儀礼を指した言葉です。このうち、女の子は3歳と7歳の儀礼がメインになります。
最初の儀礼を行う3歳の頃は、お子さまによって体格はバラバラです。女の子の祝い着には、一つ身か三つ身が着用されます。一つ身とは、お宮参りの際に赤子に着せる着物のことです。小柄なお子さまであれば、3歳の七五三で着られたりします。三つ身は4歳位までのお子さまに着られる祝い着で、一つ身よりその歳のお子さまに丁度良い作りとなっている反面、着用期間が短いという弱点があります。普通の体格のお子さまは三つ身がよろしいでしょう。
7歳の女の子の祝い着は四つ身が最適です。身長の4倍の反物で仕立てられており、より大人に近い着物姿となります。
身長と年齢に応じた男の子の羽織袴セット
男の子の場合は、5歳の「袴着の儀」が中心ではありますが、地域によっては3歳の「髪置きの儀」を行う場合もあります。平安の頃は男の子も女の子も3歳までは髪を剃る習慣があったと言います。そして、3歳の「髪置きの儀」をもって髪を伸ばしたと言います。そのため、男の子も3歳はお祝いをする場合があるのです。
ちなみに、5歳の「袴着の儀」は言葉の通り、初めて袴を履く儀式として祝われ、古くは女の子も行っていたようですが、現在は男の子のみの儀式となっています。7歳の「帯解の儀」も同様に、古くは男の子も行われていたようです。この儀式は、それまで紐付きのお子さま用の着物を着ていたのを、大人同様に帯で着付けるお祝いだったそうです。
さて、3歳のお祝いをする場合は、現代は三つ身か羽織袴を着用します。女の子の場合もですが、三つ身に被布と呼ばれるベストのようなものを合わせる場合があります。しかし、これはあくまで好みです。羽織袴の場合は、5歳のお子さまよりも小さめになります。あるいは、肩上げ、腰上げを目いっぱい行って、5歳のお子さま向けの羽織袴着せることが多いです。
この袴には主に2種類あり、スカートタイプの行燈袴とズボンタイプの馬乗袴があります。行燈袴はよく卒業式の女子学生が着用するように、女性が着用する印象が強いですが男性の正装でも案外、行燈袴は多いです。逆に、馬乗袴を女性は履かないのかというとそういうこともなく、武道などでは馬乗袴が主流です。このように、特に正式な決まりはありません。ですので、お子さま次第、おトイレ事情などで決めてよいと思います。
七五三のお子さま1人とお母さま、合計2着のセットプランです。七五三のどの年齢でも、男の子でも女の子でもお選びいただけます。ゆめやのアンティーク着物はたいへん軽くてやわらかく、仕立てにも工夫を凝らしていますので、お子さまが疲れることはありません。お母さまは訪問着フルセットの1着となります。着物はご自由にお選びいただけますし、草履・バッグ等の小物もセットになっていますので、安心してご依頼ください。ぜひ母子揃って和装で七五三のお詣りにお出掛けください。
お母さまの着物の選び方
お子さまが主役の七五三ですが、家族の絆を深めるのも七五三の役割です。親御さんも和装で統一させることで、より一層の連帯感が深まります。ここでは、まずお母さまの着物選びについて解説していきます。
お母さまに最適な着物とは
七五三に参加されるお母さまの着物を選ぶときは、あまり格が高くなり過ぎないようにすることが大切です。訪問着、附下や江戸小紋、紋付の色無地などですと、礼装でありながらお子さまを引き立ててくれます。
訪問着とは、上半身と下半身に柄が入る絵羽模様が特徴の着物です。豪華になりがちですので、控え目な柄を選ぶのが基本です。附下は訪問着に似ていますが、一般的に縫い目で柄が途切れていることが特徴です。これは、訪問着が仮仕立て(仮絵羽と言います)の状態で柄付けをするのに対して、附下は反物状態で柄付けをした着物のことを指します。これらは、準礼装から略式礼装として古くから好まれてきた着物です。
小紋と色無地は本来は普段着にあたる着物ですが、それぞれ特殊な位置づけの着物です。小紋は連続柄の着物なのですが、この柄が細かければ細かい程職人の高い技術が必要で、そういった着物は格も高いものとして扱われました。中でも、江戸三役と呼ばれる鮫小紋、角通し、行儀は略式礼装として最適です。色無地は名前の通り、柄のないシンプルな着物ですが、五つ紋を付けられる珍しい着物です。紋の数だけ格が高くなり、無紋、一つ紋、三つ紋、五つ紋と格が上がっていきます。五つ紋を付けられるのは、女性の着物では留袖のみとなっていますから、その特殊性が分かると思います。
これらの着物の特徴を意識しながらお選びいただければと思います。
色柄による組み合わせ
着物の選び方として、色柄を意識した組み合わせがあります。初冬に当たる七五三は、淡く澄んだ色が季節感を増します。また、低彩度の寒色系、グレー系は冬の雰囲気を良く表します。柄も同様に南天や雪輪などは季節の柄としては最適です。もちろん、お祝い毎ですので吉祥柄はどれもその場を晴れやかにします。こういった色柄を中心軸として着物を選ぶことで、他の帯や小物などを選ぶ足がかりにします。
柄の色を中心に帯や小物を選ぶことで色数が抑えられるため、くどくないスッキリとしたコーディネートに仕上がりやすいです。
お父さまの着物選び
愛するお子さまの健やかな成長を祈る七五三を、お父さまも和服で迎えられたら素敵です。ここでは、日本男児として伝統的な姿で迎える方法について解説していきます。
男性着物の特徴
男性の着物は女性の着物のように柄ものは多くありません。むしろ、シンプルな色と小物使いでオシャレを演出します。着物の種類も多くはなく、紬か御召か、江戸小紋あたりを選ばれると良いでしょう。紬とは紬糸を用いた普段着に当たる着物で、独特の節がある触り心地が特徴的です。御召は御召糸を用いた着物で、こちらも独特の凹凸感がありおしゃれ着に最適です。
ただ、いずれの着物も着流しでは七五三の席では不適切です。男性の場合は、羽織と袴の有無で格が変わります。改まった席でなので羽織袴姿は良さそうですが、主役はお子さまになるため略礼装に当たる長着に羽織を纏った外出着が適切です。
粋な着物選び
スタンダードなコーディネートだと、羽織と長着は同系色でまとめて差し色に帯でもう一色入れるといった感じです。対して、羽織と長着で色を変える場合はいくつかパターンを把握しておく必要があり、難易度が上がります。それならば、シンプルなコーディネートでも細かな部分でオシャレをするのも粋なものです。
例えば、羽織の羽裏は着物好きならば大切な部分です。脱がないと見ない部分ですが、江戸から続く文化であり歴史の一端に触れる機会です。他にも、羽織紐も細かいですがオシャレポイントで、素材や形状でも大きく雰囲気は変わってきます。このように、七五三に参加するお父さまも着物で楽しむことは素敵ですね。
七五三の写真撮影とアンティーク着物のスタイリング
七五三を写真に収めることは、記憶を形に残す素晴らしい方法です。そんな特別な日を特別なアンティーク着物で迎えられたら素敵です。ここでは、七五三の写真撮影に最適なアンティーク着物のスタイリングと、それを引き立てる伝統的な飾りや髪飾りの選び方について詳しく説明します。
レトロと大正ロマンを感じさせる着物
今から約100年ほど前は、丁度大正時代です。西洋的な文化が流入してきたことで、それまでの伝統的な日本のデザインなどが刷新されていった時代です。アールヌーボーやアールデコの影響を受けたこの当時の着物スタイルは、大正ロマン着物として近年注目されています。古典柄とは違うポップなデザインと淡くくすんだ色合いは、レトロな雰囲気を表現します。
小物使いで変わる七五三の撮影
写真の雰囲気は小物でも大きく変わります。お子さまの場合、女の子ならリボンやベレー帽、袴姿もかわいらしいものです。男の子なら、外套やカンカン帽なども雰囲気が出てよいです。お母さまもレトロモダンなアンティーク着物や小物で取り入れても良いかもしれません。お父さまなら同じくカンカン帽や番傘なども雰囲気が出て良いでしょう。ちょっとした小物使いで、まとまりのある写真が実現できます。
七五三のお子さま2人とお母さま・お父さま、合計4着のセットプランです。七五三のどの年齢でも、男の子でも女の子でも大丈夫です。また、ご兄弟姉妹は七五三の年齢ではなく付き添いの場合でも大丈夫です。着物はご自由にお選びいただけます。ゆめやのアンティーク着物はたいへん軽くてやわらかく、仕立てにも工夫を凝らしていますので、お子さまが疲れることはありません。お母さまは訪問着フルセットの1着、お父さまは男性用着物フルセットの1着となります。草履やバッグなどの小物も付属しています。
アンティーク着物レンタルの予約と準備
アンティーク着物での七五三を成功させる鍵は、早めの予約と丁寧な準備です。ここでは、七五三シーズンに向けたレンタル戦略と、レンタル契約から受け取りまでのチェックポイントについて詳しくご紹介します。
七五三シーズンのレンタル戦略
七五三シーズンは毎年、多くの家族がアンティーク着物を求めるため、人気の着物は早期に予約が埋まってしまいます。七五三に向けては、以下の戦略をお勧めします。
- 早期予約:七五三の日程が決まり次第、できるだけ早く着物の予約を行いましょう。特に人気の高いアンティーク着物は、数ヶ月前から予約が始まることもあります。
- オプションの確認:レンタルセットに含まれるアイテム(着物、袴、小物類など)を確認し、必要に応じて追加アイテムがあるか事前に確認しておくと安心です。
- サイズの確認:特にお子様の成長は予測が難しいため、レンタル店とサイズに関する相談を密に行い、調整可能なマージンを考慮した選択をしましょう。
レンタル契約から受け取りまでのチェックポイント
レンタル契約を結ぶ際には、以下のチェックポイントを確認することが重要です。
- 契約内容の確認:レンタル期間、価格、キャンセルポリシーなど、契約内容を詳細に確認しましょう。
- 試着の機会:可能であれば、実際に着物を試着してみることをお勧めします。特にアンティーク着物は一点物が多いため、お子様に合うかどうか直接確かめることが大切です。
- 受け取りと返却:受け取り日と返却日のスケジュールを明確にし、準備や後片付けの時間も考慮に入れましょう。
- 保険や保証:万が一の汚れや破損に備えて、レンタル着物の保険や保証内容を確認しておくと安心です。
アンティーク着物レンタルの予約と準備を適切に行うことで、七五三の日をさらに特別なものにすることができます。このプロセスを通じて、お子様と一緒に七五三の準備を楽しむことも、大切な思い出の一つとなるでしょう。
七五三当日の準備:着付けからヘアスタイルまで
七五三の当日は何かと慌ただしいものです。ここでは当日に向けた準備について解説していきます。
着付けのポイント
着物を美しく着付けるためには、プロの手を借りることです。家族で和装をする場合、お子さまを着付けて自分の着付けを行うのはとても重労働です。まして、普段から着物を嗜む方は良いでしょうが、多くの方は着物には不慣れなことが多いです。美しさの面でも、動きやすさの面でも着付け師への依頼が最善です。
着物のレンタルと着付けが同じ店舗の場合は、当日の準備は最低限で済みますが、オンラインなども含めて着付ける場所がレンタルした店舗と異なる場合は、イベントの数日前に取りに行くか自宅に配送されますので、中身の確認を徹底しましょう。その後、着付けをするところによっては着付けを行う前日までには着物を持ってきて欲しいということもありますので、時間調整に注意をしましょう。
ヘアメイクのポイント
ヘアメイクを美容院などで行う場合は、その時間も忘れずに確認しましょう。セットの時間はもちろん、移動時間を考慮した店舗選びが大切です。お子さまを連れてのイベントですので、美容院、着物レンタル店、会場の動線が短ければ短い程楽です。そのため、サービス内容、金額等の比較は必須です。
また、可能な部分は自分で行うのも良いでしょう。美容院などに依頼して、思った仕上がりにならないときのがっかりを考えれば、自分で行えば比較的満足な仕上がりになります。このように、多角的な視点で利用するサービスを精査していくのが大切です。
まとめ
七五三は、お子さまの健やかな成長と幸福を願う日本の伝統的な行事です。この大切な節目に、アンティーク着物を選び、お子さまを美しく装うことは、単に外見を飾る行為を超え、家族の絆を深め、祖先から受け継がれた文化を次世代に伝える意義深い行為です。本記事では、七五三にふさわしいアンティーク着物の選び方から、着付け、小物選びに注目して解説してきました。
着物選びでは、サイズや色、柄の選定からアンティークならではの風合いを重視し、家族の好みに合わせた一着を選ぶことの大切さを強調しました。アンティーク着物を選ぶ過程は、数多くの選択肢の中から一つ一つ丁寧に選び取る喜びを味わい、着付けや小物選びでは、和装の奥深さと美しさに触れることができます。七五三の日は、お子さまだけでなく、家族全員にとって心温まる記憶となるでしょう。
七五三の準備を始める皆様が、この記事を通じて有益な情報を得られ、そしてその過程を存分に楽しんでいただけることを願っております。お子さまの輝く笑顔と家族の幸せな瞬間を、美しいアンティーク着物と共に迎えることができますように。