成人式の小物たち 第二話

ゆめやの小物たちシリーズ、今回の小物は、帯締め、帯揚げ、重ね衿、半衿です。

帯締めは、帯と同系色でシンプルにまとめるのも素敵ですし、きものにワンポイントで使われた色を持ってくるのもセンスが光ります。

ぽってりとした印象のきものには丸ぐけ帯締めを合わせ、すっきりとした印象のきものには平織の帯締めを合わせるなど、全体を整える役割を果たします。

平織の帯締めは、アンティークものと現代ものをご用意しています。

こだわっているのは織り方です。丸い台を使ってパッタンパッタンと手で織られている手組のものだけを揃えています。

着付けるときに、帯締めにはかなりの負担がかかるのですが、機械組に比べて手組のものは耐久性に優れています。締まり具合も良いですし、苦労して、手間を掛けて組み上げられた手組の帯締めは、独特の味があります。

模様が織り込まれているものもありますよ。菱や市松などの古典柄が織り込まれていて、時代のロマンを感じられる織り柄です。同じ柄が繰り返し続く模様は縁起が良いとされ、地模様として描かれることも多いですね。アンティークの帯締めは幅が広いので、模様も活きてきます。

ただひとつ、長さだけは困ることもあります。アンティークの帯締めは丈が短いので、結んだあとの遊びの部分が少ないのです。

ですから結び方を工夫します。ちょっと変わった結び方で、長さが足りないのをごまかしたり、先を花のようにあしらったりと、みなさん苦労して結ばれていることと思います。それもまた楽しみではありますね。

帯締めには組紐のほか、丸ぐけ帯締めがあります。丸ぐけ帯締めは大正から昭和初期のきものと合わせると、より時代の深さを感じさせてくれます。

丸ぐけ帯締めは、外側が正絹、内側は真綿でできています。帯締めは着付けの中でいちばんしっかりと結びますし、重たい帯を支えますので、かなりの負担がかかり、10回ほど着けると表の正絹が破れたり裂けたりして使えなくなってしまいます。

そこでゆめやでは、アンティークの生地を使いオリジナルの丸ぐけ帯締めを作っています。

アンティークの生地ですから、同じように10回ほどで使えなくなってしまうのですが、現代の布には無い味わい深さがあります。皆さんにも味わっていただきたいので、作っては貸し、作っては貸しの繰り返しです。

結構な手間を掛けて作っているのですよ。まずは布を選びます。仕上がりが150~170cmほどですので、180cmを目安に作っていきます。生地を裏返し中表にして縫いますし、ミシンを使いますので、縫う時間はさほど掛かりません。ですが、細いものですから、縫い終わったものを表返すのに、かなりの時間が掛かります。

表返した筒状の紐の中には、本式であれば真綿を詰めていくのですが、真綿はなかなか手に入りませんし、丸く仕上げる技術もありませんので、京都に行って勉強してきました。

企業秘密ですが、紐の中身は毛糸です。180cmの毛糸の束を作って、筒の中に納めていきます。180cmは長いですから、当店の2階への手摺りを使って作ります。アイロンをかけながらきれいに丸くして納めていくのです。文明の利器に頼りながらも、なかなか根気の要る仕事です。

これだけ頑張って作っていますが、お使いいただけるのはレンタルで10回ほどです。どうぞゆめやの思いを感じながら使ってくださいませ。

次に、帯揚げですね。

帯揚げも基本的な色選びは帯締めと同じで、きものと同系色か、ワンポイントの色がまとまりやすいでしょう。

ですが、せっかくの成人式ですから、きものの色から2色選んで、赤い帯締めに紫や緑の帯揚げなどというコーディネートも素敵だと思います。

ゆめやでご用意している帯揚げは、ほとんどが現代ものです。現代と言いましても、今作っているわけではなく、30~40年ほど前のものです。アンティークきもの業界で言うところの現代ものです。本物のアンティークの帯揚げはなかなか残っていないと思います。

ゆめやの帯揚げは手絞りにこだわっています。絞りではない縮緬の帯揚げなども少しありますが、ほとんどが絞りですね。

染めで二色になったものや、ぼかしが入ったもの、絞りで絵柄が描かれたものなどもあります。色の数だけ手間数が増えますので、絞りで絵柄を描くというのはたいへんな作業だったでしょうね。

ゆめやでの最高クラスの帯揚げは、鬼しぼ縮緬です。巻きが少ない絞りは4回ほど巻くだけですが、鬼しぼは8回ほど巻いてあります。倍の回数巻いてあるということは、倍の高さが出るということです。仕上がりも豪華ですよ。

絞りの粒の大きさと、絞りの高さというのは別ものです。大きい絞りを作っているのとは違い、巻きの回数が増えることによって粒が大きくなったものが、粒の大きさと高さが出て最高級品になります。

ぜひいろいろと見比べてみてください。きもの好きの方ならお分かりいただけると思いますよ。

少ししか見えないけれど印象を大きく変えるのが重ね衿です。

伊達衿とも言います。

もともと正装ではたくさんのきものを着ていましたが、なかなか動きが困難になりますので、まるでもう一枚着ているかのように見せるために作られたアイテムです。内側に着たきものを連想させるほど重要になるのが重ね衿ですので、色柄選びは重要です。

ゆめやでは、赤・白・青・緑・黒・茶・紫などさまざまな色柄をご用意しています。

ぼかしの生地を使ったり、羽織の生地を使ったりとさまざまですが、最近ではレースでできた重ね衿の人気がありますね。こちらはアンティークの生地ではないのですが、大正ロマンを感じさせる力があると思い、仕立てました。真っ白に花柄や、淡いクリーム色の古典柄などをご用意しています。

市販品と違うのは、その作りです。市販品は12cmほどに開いた1枚の布で、それを折り曲げて着付けるのですが、ゆめやの重ね衿は、すでに半分に折って仕立てています。着るかたも、着せるかたも、きっと楽だと思います。

仕立てる時間はさほど掛かりません。布を切り、裏側へ芯を貼り、裏返して、一気に縫います。表返すのも、幅が5cmほどありますから簡単です。1本作るのに20~30分というところでしょうか。

ありとあらゆる正絹で重ね衿を作りました。無地や1色だとなんだかつまらなく思えてしまい、気に入った布でどんどん作ってしまいました。

きものとお顔と重ね衿の組み合わせは楽しめますよ。

細かな織りの入った単色も良いですね。上質な正絹の織りだけで模様を浮き上がらせた重ね衿は、動くたびにきらきらと光を反射し、お顔を上品に明るく見せてくれます。

市松模様でくっきりとした印象に仕上げることもできますし、草花柄や松竹梅などでたおやかに演出することもできます。

重ね衿といっしょに半衿も選びましょう。

お肌にいちばん近いところに着けるのが半衿です。半衿は、汗・お化粧・食べ物などで汚れやすいため、きものを着る度に取り替える実用品だったのですが、明治時代にはおしゃれアイテムになったそうです。

舞妓さんは半衿が命なのですよ。お顔に一番近いところで一番目立つのは半衿ですから、ここで勝負です。

半衿は、衿心を通して衿元・胸元の着付けの土台となる部分です。重ね衿よりも見える面積が大きいですので、じっくりと選びましょう。

織り柄だけの単色のものから、古典柄や古典紋様のほか、レースをあしらったものまで、ほとんどがゆめやのオリジナルです。

手刺繍のものは、80~90年ほど前のアンティークです。日本刺繍という手刺繍の半衿です。家が1軒買えるほどのお値段だったそうですよ。よく残っていましたね。

80~90年ほど前の半衿を今着けられるなんて幸せですよね。大切なものですので、振袖のレンタルでのみお貸ししています。NHKのドラマ撮影にもお貸しした逸品ですよ。

帯締め、帯揚げ、重ね衿、半衿のお話しでした。ゆめやにはオリジナルの小物がたくさんあります。なぜこんなに増えたかというと、お客さまのリクエストに応えたかったから。この話しは次回詳しくお伝えしましょう。

さあ、だんだん着付けの完成に近づいてきましたね。次回はさらにこだわりの小物たちと、ゆめやの思いをご紹介します。どうぞお楽しみに。



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