七宝紋様に花丸紋と牡丹の黒振袖【fuk03】

【着物のプロ監修】七宝(しっぽう)柄の着物で上品に!文様の意味と選び方のコツ

はじめに

七宝柄の着物は、その上品で格調高いデザインから、多くの人に愛されています。さまざまなシーンで着用できる七宝柄の着物を着てみたいという方も多いのではないかと思います。

しかし、次のような疑問や悩みを抱えている方も少なくないのではないでしょうか。

  • 七宝柄の由来や意味を知りたい
  • 自分に合った七宝柄の着物の選び方が分からない
  • 七宝柄の着物に合う帯や小物の合わせ方に自信がない
  • 七宝柄の着物を長く美しく着るためのお手入れ方法を知りたい

この記事では、そんな疑問や悩みを持つ方に向けて、七宝柄の魅力や由来、選び方のコツ、コーディネートのポイント、お手入れ方法などを詳しく解説します。

それでは、七宝柄の魅力的な世界に一緒に踏み込んでいきましょう!

七宝(しっぽう)柄とは?由来と意味、種類を解説

七宝柄は、日本の伝統的な文様の一つで、丸い形が連なったデザインが特徴的です。その由来は仏教に関係があり、それぞれの丸い形には深い意味が込められています。

ここでは、七宝柄の起源や象徴する意味、七宝柄の種類について詳しく解説していきます。

七宝柄の由来と歴史

七宝柄の起源は、仏教の経典である法華経に登場する七つの宝物に由来するといわれています。その七つの宝とは、金、銀、瑠璃、珊瑚、瑪瑙、真珠、玻璃のことを指します。これらの宝物は、仏教において清浄無垢な存在として尊ばれてきました。

七宝柄は、これらの宝物をモチーフにしたデザインで、平安時代から日本で用いられるようになったといわれています。当初は仏具や寺院の装飾に使われていましたが、次第に一般の人々にも広まり、着物や工芸品などにも用いられるようになりました。

江戸時代になると、七宝柄は吉祥文様の一つとして定着し、子孫繁栄や円満な家庭を願う意味が込められるようになります。現在でも、七宝柄は縁起の良い文様として親しまれています。

七宝繋ぎの種類と特徴

七宝繋ぎは、最もポピュラーな七宝柄の一つです。円形が連なったデザインが特徴で、その連なり方によって、いくつかの種類に分けられます。

  • 七宝繋ぎ:円形が規則正しく連なったデザイン。最もシンプルな七宝繋ぎで、着物や帯、小物など幅広く使われています。
  • 変わり七宝:円形の大きさや配置に変化を加えたデザイン。リズミカルな印象を与えます。
  • 七宝繋ぎに花:円形の中に花柄を組み合わせたデザイン。華やかさがアップします。
  • 七宝繋ぎに鳥:円形の中に鳥の柄を組み合わせたデザイン。吉祥文様としての意味合いが強くなります。

色は、紺色や黒、紫、緑など落ち着いた色合いが多く使われます。金や銀の箔を施すことで、より豪華な印象に。

七宝繋ぎは、シンプルながらも上品で格調高い柄行きが特徴で着物にも良くマッチします。

その他の七宝柄の種類と特徴

七宝繋ぎ以外にも、七宝柄にはさまざまなバリエーションがあります。

  • 七宝に梅:丸い形の中に梅の花を配したデザイン。梅は古くから親しまれてきた吉祥文様で、上品な印象を与えます。
  • 七宝に桐:丸い形の中に桐の紋を配したデザイン。桐は高貴さの象徴とされ、格式高い場面にふさわしい柄行きです。
  • 七宝に菊:丸い形の中に菊の花を配したデザイン。菊は高貴な印象を与え、晴れの日の着物に好まれます。
  • 七宝に鳳凰:丸い形の中に鳳凰を配したデザイン。鳳凰は祝いの席にふさわしい、おめでたい柄です。

これらの七宝柄は、色使いによって雰囲気が大きく変わります。渋めの色合いでまとめれば大人っぽく上品な印象に、赤や黄色などの明るい色を使えば華やかで若々しい印象になります。

七宝柄は、色や文様の組み合わせ次第で、さまざまな表情を見せてくれる奥深い柄です。TPOや好みに合わせて、自分らしい七宝柄の着物を選んでみてはいかがでしょうか。

ここで、ゆめやで取り扱っているお着物のレンタルセットから、「七宝紋様に花丸紋と牡丹の黒振袖」をご紹介します。

こちらは、牡丹、鉄扇、撫子、笹、梅などの花が咲き誇り、吉祥柄で埋め尽くされた、昭和時代の五つ紋付アンティーク黒振袖です。

唐草模様が描かれた白い七宝を背景に、花々が咲き誇った特色あるデザインです。花嫁衣装用として、白い羽二重の比翼がつけてあり、このままお使いいただくこともできます。

帯は、同じ昭和の唐織りの丸帯をコーディネートしました。

七宝柄の着物の選び方|TPOや年代別のコツ

七宝柄の着物は、その上品で格調高いデザインから、幅広い年代の方に愛されています。しかし、TPOや年代に合わせて、適切な七宝柄の着物を選ぶことが大切です。

ここでは、シーンや年代別の七宝柄の着物の選び方について、ポイントを交えながらご紹介します。

フォーマルシーンでの七宝柄の着物の選び方

結婚式や披露宴などのフォーマルな場面で七宝柄の着物を選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。

  • 色選び:黒や紺、深い紫など、落ち着いた色合いの着物を選ぶのがおすすめです。金や銀の箔を施した七宝柄は、より格式高い印象を与えます。
  • 柄の大きさ:フォーマルな場では、大きすぎる柄は避け、上品で控えめな七宝柄を選ぶのが無難です。
  • 生地の素材:絹や丹後ちりめんなど、高級感のある素材を選ぶことで、装いに品格が加わります。
  • 帯合わせ:七宝柄の着物に合わせる帯は、無地や控えめな柄のものを選ぶと、着物の柄を引き立てつつ、全体の印象を引き締めることができます。

フォーマルシーンでは、七宝柄の持つ上品さと格調高さを活かしつつ、TPOに合った着こなしを心がけることが大切です。

年代別の七宝柄の着物の選び方

七宝柄の着物は、年代によって選び方のポイントが異なります。自分の年代に合った七宝柄の着物を選ぶことで、より魅力的な着こなしがかないます。

以下で、年代別のおすすめの選び方をご紹介します。

  • 10代・20代:若々しさを活かした、明るい色合いの七宝柄がおすすめ。赤や黄色、ピンクなどの差し色を取り入れると、元気で華やかな印象になります。
  • 30代・40代落ち着きのある色合いの七宝柄を選ぶのが◎。深みのある紫や緑、ブルーグレーなどの色は、大人の女性らしい上品さを演出します。
  • 50代以上シックで品格のある七宝柄がおすすめ。黒や紺、こげ茶などの渋めの色合いは、着る人の風格を引き立ててくれます。金や銀の箔を施した七宝柄は、晴れの日の装いにぴったりです。

また、年代を問わず、シンプルな七宝繋ぎの柄は、幅広いシーンで活躍します。TPOに合わせて、帯や小物で雰囲気を変えるのも良いでしょう。

自分の年代や好みに合った七宝柄の着物を選ぶことで、その人らしい魅力的な着こなしが楽しめます。着物選びの参考にしてみてくださいね。

ここで、ゆめやで取り扱っているお着物のレンタルセットから、「波間に松、藤丸紋様のベビーピンクの色留袖」をご紹介します。

お着物自体に七宝柄はありませんが、七宝柄の帯を合わせた、結婚式などのフォーマルシーンにおすすめのお着物です。こちらは、光沢のある綸子地の現代物の色留袖です。

一つ紋付きの柔らかいベビーピンク色に、波紋様が描かれ、漂う丸紋の中には、松、藤、橘、梅、紅葉などが丁寧に細かく手刺繍されています。

衿や裾は比翼仕立てになっており、格調高い留袖です。帯は、西陣の川島織物の袋帯を二重太鼓に結びました。七宝柄の中に、さらに吉祥文様が組み合わせられ、おめでたいお席にふさわしい品格を備えています。

七宝柄の着物の帯や小物の合わせ方|コーディネートのポイント

七宝柄の着物に合わせる帯や小物は、コーディネート全体の印象を大きく左右します。着物の色味や柄行きに合わせて、バランスの取れた帯や小物を選ぶことが大切です。

ここでは、七宝柄の着物に合う帯や小物の選び方、コーディネートのポイントについてご紹介します。

七宝柄の着物に合う帯の選び方

七宝柄の着物に合わせる帯は、着物の色味や柄行きに合わせて選ぶのがポイントです。

以下のような帯が、七宝柄の着物とよく合います。

  • 無地の帯:七宝柄の着物に無地の帯を合わせることで、着物の柄を引き立てつつ、全体の印象を引き締めることができます。着物の色味に合わせて、帯の色を選ぶのがおすすめです。
  • 七宝柄の帯:着物と同じ七宝柄の帯を合わせると、統一感のある上品な装いになります。ただし、柄の大きさや色合いが着物と近すぎないよう注意しましょう。
  • 縞や格子柄の帯:七宝柄と縞や格子柄を組み合わせることで、モダンな印象を演出できます。着物の色味に合わせて、帯の色を選ぶのがポイントです。
  • 金銀の帯:金や銀の箔を施した帯は、七宝柄の着物の持つ格調高さを引き立ててくれます。フォーマルな場面での着こなしにおすすめです。

帯選びの際は、着物全体のバランスを考えることが大切です。帯の色や柄が着物を引き立てつつ、全体の調和が取れるよう心がけましょう。

七宝柄の着物に合わせる小物のコーディネート

七宝柄の着物に合わせる小物は、着物の色味に合わせて選ぶのがおすすめです。小物で着こなしのアクセントを加えることで、より魅力的な装いになります。

  • 帯留め・根付け:七宝柄の着物に合わせる帯留めや根付けは、着物の色味に合わせて選ぶのがポイントです。金や銀、パールなどの素材は、上品な輝きを添えてくれます。
  • 草履・バッグ:草履やバッグは、着物の色味に合わせて選ぶのが無難です。金銀や白、ベージュなどの中性色は、どんな色の着物にも合わせやすく便利です。
  • 髪飾り:七宝柄の着物に合わせる髪飾りは、シンプルなデザインのものがおすすめ。簪(かんざし)など、和風の髪飾りを選ぶと、着物姿に品格が加わります。
  • 帯揚げ・帯締め無地のものを選ぶと、着物の柄を引き立てつつ、コーディネートにまとまりが出ます。

小物選びの際は、TPOに合わせて、フォーマル度を調整するのも大切です。フォーマルな場面では、上品で控えめな小物を選び、カジュアルな場面では、遊び心のあるデザインの小物を取り入れるのも良いでしょう。

着物のお手入れ方法|長く美しく着るために

七宝柄の着物は、その美しさと格調高さから、大切な場面で活躍する一着ですが、長く美しく着るためには、適切なお手入れが欠かせません。

ここでは、着物のお手入れ方法について、洗濯や保管、シミ抜きなどの観点からご紹介します。大切な七宝柄の着物を、末永く愛用するためのポイントを押さえましょう。

着物の洗濯方法

着物の洗濯は、素材によって方法が異なります。正絹の着物は、自宅での洗濯は避け、専門店に依頼するのがおすすめです。一方、ポリエステルや化繊の着物は、ご家庭でも洗濯が可能です。

正絹の着物は、以下の点に注意して専門店に依頼しましょう。

  • 着物専門のクリーニング店を選ぶ
  • 「京洗い」や「丸洗い」など、着物に適した洗濯方法を確認する
  • シミ抜きや色止めの対応が可能か確認する

ポリエステルや化繊の着物は、以下の手順で家庭洗濯ができます。

  • 洗濯ネットに入れ、他の洗濯物と分けて洗う
  • 中性洗剤を使用し、手洗いまたは洗濯機の弱水流で洗う
  • すすぎは十分に行い、脱水は弱めに設定する
  • 形を整えて陰干しし、半乾きの状態でアイロンをかける

素材に合わせた洗濯方法で、七宝柄の着物を清潔に保ちましょう。

着物の保管とシミ抜き

七宝柄の着物を長く美しく着るには、正しい保管方法とシミ抜きの知識も重要です。

着物を収納する際は、以下の点に気をつけましょう。

  • 着物専用の衣装ケースや桐タンスに収納する
  • 着物はたとう紙に包み、帯は専用の帯枕に巻いて保管する
  • 防虫剤を入れ、湿気対策として乾燥剤も使用する
  • 収納場所は直射日光や湿気を避け、温度変化の少ない場所を選ぶ

万が一、七宝柄の着物にシミができてしまった場合は、早めの対処が肝心です。

  • 水や油のシミは、速やかに吸い取る
  • 洗剤を使ってシミ抜きを試みる場合は、目立たない部分で色落ちを確認する
  • シミの種類によっては、専門店に相談するのが安全

正絹の着物のシミ抜きは専門店に依頼するのがおすすめです。ポリエステルや化繊の着物は、市販のシミ抜き剤を使用できる場合もありますが、慎重に扱うことが大切です。

適切な保管とシミ対策で、七宝柄の着物をいつまでも美しく保ちましょう。

まとめ

この記事では、七宝柄の着物について、以下の点を詳しく解説してきました。

  • 七宝柄の由来と意味
  • 七宝柄の種類と特徴
  • 七宝柄の着物の選び方
  • 七宝柄の帯や小物の合わせ方
  • 七宝柄の着物のお手入れ方法

七宝柄は、その美しさと奥深さから、長く愛される伝統的な文様です。この記事で得た知識を活かして、自分らしい七宝柄の着物の着こなしを楽しんでみてください。

TPOや年代に合った着物選びと、帯や小物の上手な合わせ方で、より魅力的な和装姿を演出できるでしょう。

大切な七宝柄の着物を、正しいお手入れ方法で長く美しく着続けてください。和の文化の素晴らしさを感じられる喜びを、これからも味わっていただけたら幸いです。

〈参考記事〉
https://iwano.biz/sp/column/kimono/monnyou/1103-sippounew.html
https://kimondou.jp/information/detail/665
https://kimono-rentalier.jp/column/kimono/shippou/
https://kano-wafuku.com/blog/kimono-knowledge/787
https://www.kimono-tuji.com/trouble/
https://kimono-totonoe.jp/square/kimono-stain/kimono-shiminuki-jitaku/
https://www.takakuureru.com/magazine/10879
https://www.kimono-karaku.co.jp/blog/2077/

著者情報

ゆめや通信編集部

執筆者

この記事はゆめや通信編集部が執筆しています。編集部では、企画・執筆・編集・入稿の全工程を担当・チェックしています。
田村芳子プロフィール画像

監修者 田村芳子

「アンティークきものレンタルゆめや」店主 着物コーディネート・着付け・和裁歴50年余。1985年に「アンティークきものレンタルゆめや」を創業。多くの人にアンティーク着物を着て頂くため、日々接客やコーディネート、着物の手入れを行っています。

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