和装花嫁衣装選びのコツ・第1回 黒引き振袖の魅力とは?
結婚式・婚礼での和装。
興味はあるけれど、ウエディングドレスと違って、わかりにくい、難しそう、そもそも何から考えれば良いかわからない。
そんなプレ花嫁さんのために、和装花嫁衣装選びのコツをご紹介するコラムを始めました。
第1回のテーマは「黒引き振袖」です。
目次
古くて新しい花嫁衣装の新定番「黒引き振袖」とは
- 今再び注目される「黒引き振袖」とは
- 「黒引き振袖」の着付けの方法
- 「黒引き振袖」の特徴 〜「白無垢」「色打掛」との違い
- 和装花嫁の小物
- まとめ
古くて新しい花嫁衣装の新定番「黒引き振袖」とは
1.今再び注目される「黒引き振袖」とは
独身時代の締めくくりとなる花嫁衣裳。「白無垢」「色打掛」は知られているところですが、近年は「黒引き振袖」という婚礼衣裳が復活してきました。
「白無垢」が「あなた色に染まります」という意味の「白」であるのに対し、「黒引き振袖」は、「あなた以外のどなた色にも染まりません」という覚悟を表す「黒」をまとうという由来があります。
「黒引き振袖」は、江戸時代から昭和初期には一般的な花嫁衣裳でした。
袂や裾など下の方にだけ柄を入れ、結婚式で「黒引き振袖」として着たあとは、仕立て直して「留袖」として一生愛用することが出来ますので、質素で倹約家の花嫁さんとして好まれる衣裳でした。それでも、本当にお金の無いお家は、柄を入れることができなくて真っ黒だったり、ご親類やご近所から借りたりしていたそうですから、下にだけ柄を入れるというのは、「花嫁は倹約家ですよ」というパフォーマンスを兼ねていたのかもしれませんね。
戦後は、花嫁衣裳が「質素・倹約」から「富の象徴」「慶びの表現」をするものに変わり、黒ではない、「色引き振袖」が普及していきました。
そして現代。神社や披露宴会場に付設の施設で神前結婚式を挙げるカップルが多くなり、「黒引き振袖」の潔さが見直されているところです。
ドレスは結婚後も着ることができますが、振袖は着納めになります。もう二度と着られない振袖ですので、記念に着納めをなさる方が増えたということでしょうか。医療の発達で超高齢化社会にもなりましたので、おばあちゃまだけでなく、ひいおばあちゃんも結婚式に参列なさると聞きます。ご高齢の方は神前での結婚式を喜ばれるでしょうね。
婚礼衣装の格としては、上から「白無垢」「色打掛」「黒引き振袖」「色引き振袖」の順になりますが、「黒引き振袖」はこれまで忘れられていたこともあり、現代ではモダンな衣裳として目に映るようです。「黒引き振袖」に文金高島田で角隠し。柔らかでレトロな雰囲気の花嫁さんです。