グラデーションの松に群れ飛ぶ鶴の五つ紋付黒引き振袖【fuh73】

数年前に、ゆめやの振袖を着ていただいたお嬢さんが、花嫁衣裳をということで突然いらっしゃいました。ちょうどこの振袖を出していた時で、雰囲気もぴったり。思わずそのまま試着していただきました。お嬢さんと着物もご縁なのですよね。たいへんな似合いようでしたよ。来年の５月に、ゆめやの花嫁衣装で長野にお嫁入りなさいます。おめでとうございます。

描かれたのは堂々とした松の木です。枝に開く葉は、しっとりとした色合いの青から緑、赤へと続くグラデーションに色付けられ、たくましく太い松の木の木肌は、やわらかく表現されています。その立派な松の木に鶴が舞い降りてくる図ですね。

昔から、松の木は花婿さんの家柄や人柄を表し、鶴は花嫁さんを表すと言われています。立派なお家の堂々とした花婿さんのところに、優雅な鶴が群れを成して降りてきます。たいへんな数の群れですよ。ご親族一同のお慶びや、子孫繁栄を願ってのことでしょう。結婚の喜びと期待に満ちた、おめでたい絵柄です。

正絹地に手描きのアンティーク黒振袖です。鶴の頭や、松の木肌には手刺繍もほどこされ、華やかさあふれる振袖に仕上がっています。家紋は柏の五つ紋ですね。大正から昭和初期にかけての作品だと思われます。これだけ鮮やかなままで、よく保管していただきましたね。

身丈が１７４cm、袖丈が１１２cmですので、身長が１６９～１７９cmほどの花嫁さんにちょうど良いサイズです。お引き摺りでも着ていただけます。