紅白の松竹梅と鼓や小槌の檜扇の五つ紋付黒引き振袖【fuh80】

８０年ほど前の大正時代に作られた、五つ紋付アンティーク黒振袖です。黒く染められた正絹に、紅白の松や竹と、白い梅や雲取、色とりどりの華やかな檜扇が描かれています。檜扇から垂れ下がる五色の紐が躍動感にあふれていますね。

檜扇の中には、菊・桐・御簾・鼓や小槌も、手描き・手刺繍で描かれています。おめでたい柄ですね。たいへん細かく手刺繍してありますし、縁には金駒刺繍もほどこされています。

後ろ姿もたっぷりと絵柄がほどこされていますよ。左肩には雲取と梅、右肩には鼓が描かれた檜扇です。そっと手を前に差し出すときに全景が現れると、さぞ美しいでしょうね。後ろ脇にすっくと描かれた竹も存在感があります。

家紋は、丸に違い鷹の五つ紋が染め抜きで入れられています。裏地は紅絹で、裾回しは共八掛で仕立てられています。

帯は、菊や桔梗の花薬玉と檜扇が織り出された白地の袋帯を結びました。ほとんどの絵柄が金・銀・オレンジなどで織り出される中、葉の緑や、薬玉の紐の紫や緑がほどよく効いています。

半衿は鶴や小菊の手刺繍に金糸もはいった豪華なものです。鶴が染め出された白い大きな絞りの帯揚げに、本紋が織り出された白い丸ぐけ帯締めを締めました。仕上げに、つがいの鶴が手刺繍された白い筥迫と、松竹梅の細工がはいった末広を挿して、古式ゆかしい花嫁さんのできあがりです。