エンジ色に絵羽模様の辻が華の色振袖【fui61】

真っ赤というよりはエンジがかった赤で、深みがありますね。正絹地に金糸が織り込まれているので、貫録もあります。現代物の辻が華の色振袖です。まだ仕付け糸が付いたままの新品の状態で譲り受けました。

まず白生地を切り分け、仮絵羽の状態に仕立てます。そこに絵を描いてから仕立てをほどき、一度布の状態に戻して、絞りを入れていきます。絞りは色の数だけ繰り返します。たいへんな手間の掛かる作業ですね。絞って、色を入れて、洗って、乾かしてという作業を繰り返し、やっと出来上がった生地を、いよいよ仕立てるわけです。仮絵羽のデザインと同じになるように、ひと針ひと針縫っていきます。これで、切れ目も縫い目も絵柄が繋がった、絵羽模様の出来上がりです。

ここまでくるともう芸術品ですね。アンティークでも現代物でも、これだけ手間暇をかけたものが世に出てくるなんて、良い時代になりました。

深みのあるきものの色に合わせて、帯も深緑を選びました。ダークなグリーンを背景に、鮮やかな色糸で花々が手刺繍された逸品です。流れるような辻が華のデザインと、帯の花の流れがマッチしています。黄色がメインの辻が華の色合いに合わせて、帯揚げ、帯締めを結び、軽やかな印象になりましたね。

この振袖を着るお嬢さんは幸せものです。身丈が１７４cmありますので、現代の背の高いお嬢さまもゆっくり着ていただくことができますよ。ぜひ成人式にお召しになってください。